技能実習生と特定技能の違い

特定技能ビザとは・・

「特定技能ビザ(specified skilled worker visa)」とは他項でもお伝えした通り、

入管
入管

「中小・小規模事業者をはじめとした人手不足は深刻化しており,我が国の経済・社会基盤の持続可能性を阻害する可能性が出てきているため,生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において,一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築するために特定技能制度が創設されました。」

 とあるように、「特定技能ビザ」はどうしても人財の確保が難しい特に困難な状況にある日本の事業分野は、即戦力となる外国人を受け入れることができるビザです。また直接雇用関係を結ぶ就労ビザとなります。

技能実習生ビザとは・・

入管
入管

外国人技能実習制度は、我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としております。
平成28年11月28日に公布され、平成29年11月1日に施行された外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成28年法律第89号)に基づいて、新しい技能実習制度が実施されています。

 「技能実習生ビザ」とは上記にある通り、我が国日本の技能・技術または知識を発展途上国へ「移転」し、開発途上国んの経済発展を担う目的で制定されたビザとなります。
 就労することが目的ではなく、就労の中で日本の技術を学び母国へ帰ってその知識を生かすことができる人財を「トレーニング」する目的となるビザです。

 

 

特定技能ビザと技能実習生ビザの違い一覧

技能実習ビザと特定技能ビザの制度の違い
技能実習(団体監理型) 特定技能(1号)
関係法令 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律/出入国管理及び難民認定法 出入国管理及び難民認定法
在留資格 在留資格「技能実習」 在留資格「特定技能」
在留期間 技能実習1号:1年以内,技能実習2号:2年以内,
技能実習3号:2年以内(合計で最長5年)
通算5年
※2022年に年数制限を撤廃する動きが政府内で加速しています。
外国人の技能水準 なし 相当程度の知識又は経験が必要
入国時の試験 なし(介護職種のみ入国時N4レベルの日本語能力要件あり) 技能水準,日本語能力水準を試験等で確認
(技能実習2号を良好に修了した者は試験等免除)
送出機関 外国政府の推薦又は認定を受けた機関 なし
監理団体 あり(非営利の事業協同組合等が実習実施者への監査その他の監理事業を行う。主務大臣による許可制) なし
支援機関 なし あり(個人又は団体が受入れ機関からの委託を受けて特定技能外国人に住居の確保その他の支援を行う。出入国在留管理庁による登録制)

外国人と受入れ機関
のマッチング

通常監理団体と送出機関を通して行われる 受入れ機関が直接海外で採用活動を行い又は国内外のあっせん機関等を通じて採用することが可能
受入れ機関の人数枠 常勤職員の総数に応じた人数枠あり 人数制限なし(介護分野,建設分野を除く)
活動内容 技能実習計画に基づいて,講習を受け,及び技能等に係る業務に従事する活動(1号)
技能実習計画に基づいて技能等を要する業務に従事する活動(2号,3号)  (非専門的・技術的分野)
相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動
(専門的・技術的分野)
転籍・転職 原則不可。ただし,実習実施者の倒産等やむを得ない場合や,2号から3号への移行時は転籍可能

同一の業務区分内又は試験によりその技能水準の共通性が確認されている業務区分間において転職可能

フロンティア先生
フロンティア
先生

特定技能ビザと技能実習生ビザでは色々な項目で違いがみられますね!

まとめ

企業側から見る「特定技能ビザ」と「技能実習生ビザ」は以下の強み・弱みに大別されます。

企業から見た特定技能ビザの強み

・人財を受け入れた後の事務作業が技能実習生ビザに比べ少ない。
・基本的に受け入れられる人数の制限がない。(※但し建設分野と介護分野は除外)
・コスト(委託費用など)を抑えやすい。
・基本的に来日するまでの渡航費が必要ない。※任意
・在留資格取得・更新費用が必要ない。※任意(支援機関の委託費用に含まれる場合がある。)
・入国前に日本語試験(JLPT N4またはJFT A2レベル)及び該当する業種の基礎的な技能試験に合格している。
・技能実習生ビザと違い、特定技能ビザ種目の範囲内であれば単純作業・付随する業務を行わせることが出来る。
・支援機関の訪問は3月に1度で良い。

企業から見た特定技能ビザの弱み
・日本人と同等の扱いが求められるため、転職の自由がある。(早期退職・転職の可能性がある)

企業側から見た技能実習生ビザの強み
・受け入れ企業が入国管理局へ提出した実習計画を基本として実施されるビザのため、転職と言う概念は無く、あるとすれば受け入れ企業に何らかの問題があり行われる「転籍」のみ。よって基本的に実習期間満期までは自社で仕事をしてもらえる。
・職種の対象となる分野が特定技能ビザに比べ多い。

企業側から見た技能実習生ビザの弱み
・技能実習ビザと違い入国前の1ヵ月研修、入国後1か月研修が必要となる。入国前の母国で研修をしていない場合、入国後2ヵ月の座学研修が必要である。(実質その間、仕事をさせられない)
・実習計画上にある事項のみ就労ができる。
・実習期間中に技能検定の基礎級・専門級の受験基礎級の受験が必要。合格できないと1年目で帰国しなければならない。
・実習生の選抜前に、母国において日本で就く技能実習と同種の業務に従事していることが必要。
・常勤職員の割合に対し下記のような受け入れ人数制限がある。
101人以上 200人以下 10人
51人以上 100人以下     6人
41人以上 50人以下       5人
31人以上 40人以下       4人
30人以下                 3人
・出入国時の航空運賃を負担しなければならない。(5年目になると一時帰国についても必要)
・ビザ取得・年次の更新費用を負担しなければならない。
・管理団体の訪問指導を1ヵ月に1度受けなければならない。

まとめ

特定技能ビザと実習生ビザには上記のような違いがあります。
直接国外から受け入れるもよし、実習生ビザですでに入国している人財を受け入れるもよし。
受け入れる企業の支出する費用や自由度を考えると特定技能ビザが圧勝のように感じます。
しかしそれぞれの資格には強みと弱みがあるので、よく考えた上で自身の企業に合った形態で人財を受け入れることをお勧めします。