面接するにあたり、事前確認を徹底する
まずネパール人財の経歴としては以下3種類に大別されると思います。
面接では判断しにくい会話力や人財が持つ基本的な性格について、私が10年以上ネパール人財をマネジメントしてきた経験から、この3種類の経歴確認は特定技能ビザを受け入れる上で目安として役立ちます。※あくまで経験談より来るアドバイスと受け取ってください。
②来日経験は無いが、現地の日本語教育機関等で指導者として教鞭を取った経験の有る人財。
③留学ビザや実習生ビザで来日した経験があるが、何らかの理由でネパールへ帰国した人財。
それぞれが持つリスクについて
ただし日本人でも、外国人でも、可能性は可能性として様々なリスクは残ります。
一番大切なことは、企業側も彼らの未来を一緒に考え、寄り添う姿勢です。
みなさんの何気ない気遣い・気づきが、彼らの心を動かし長期間働いてもらえる定着率に繋がると言う事を忘れてはいけません。
ネパールの高校・大学卒業証明書等学術記録を確認する
ネパール人財の総合的な能力を確認する上で役に立つのは彼らの最終学歴に関する「学術証明書」です。
日本の仕組みと違い、彼らは中学校・高等学校や大学を卒業するためにネパール教育省から開催される「全国統一試験」を全員が受験します。
日本のセンター試験がそのまま卒業試験になっているようですね。
総合的な成績から科目毎の能力と言うよりも、人財の持つ「新しいことに対する学習能力」を推し量ることが出来ます。
そもそも、ネパールの教育制度とはどのような形でなんだろう?
ネパールでは基本的に1~8年生が基礎教育、9~12年生が中等教育及び、大学学士コース以上の高等教育となっています。10年生終了時と12年生終了時には全国統一試験が行われます。
ネパールでは、日本で言う高等学校のことを「10+2(てんぷらす2)」または「+2(ぷらす2)」と略称します。
またネパールの高等学校学科は大別すると以下のようになり、日本のような「普通科」と言うものはありません。
1.教育学部
2. 人文学部
3. 経営マネジメント学部
4. 科学学部
5. GCE A レベル方式学部 (ケンブリッジ大学の教育方式)
6. CTEVT (日本の実業高校または専門学校方式)
以上6学科に分かれます。(出典:Nepali answer 英文)
参考までに、+2の卒業時に発行される成績表を右に貼っておきます。
またネパール国内では西暦(A.D.と省略される)ではなくビクラム歴(B.S.と省略される)で社会が回っており、各種証明書や発行される書式は基本的にビクラム歴で記載されています。
西暦に変換したい場合は、ネット上での変換サイトで行うといいでしょう。
ちなみに、2022年1月現在はビクラム歴では2078年9月となっています。
・・・西暦の、はるか未来。(笑)
ネパール人財の強みとしてよく挙げられるのが、小学校1年生から学習が開始されている英語力です。日本語が出来る事はもちろん、英語力もあれば様々な場面で活躍することがありそうですね。
成績表の中には「COMPULSORY ENGLISH」と表記されており、必修英語と言う意味になります。また「FULL MARKS」が満点の数値で、「MARKS SECURED」が本人の取得ポイントとなります。
科目毎に満点が100だったり75だったりしますが、おおまかに成績が知りたい時は成績表右下「Division(区分)」欄を確認すると良いでしょう。
各試験の総合成績(%)は以下のような区分ごとの評価名称で分けられています。
60%以上がFirst division(第1レベル)
45%以上がSecond division(第2レベル)
35%以上がPass division(合格レベル)
まとめ
私が長年留学生の送り出しをいている中で、よく見かけるのはSecond division(第2レベル)で卒業した学生です。
体感的にはFirst division(第1レベル)の学生は希少な方で10%くらいでしょうか。Distinction(最優秀レベル)ともなると、ほとんど見かけたことがありません。
統計を取っているわけではありませんが、残念?なことに、やはり彼らの卒業時成績区分が日本語指導の所要時間に大きく比例していることを感じています。
日本語学習を始めて始めたところから、日本語能力試験の基礎レベルであるN5の取得を目指す場合、
Second division(第2レベル)の学生は週6日/1日2時間で平均2ヵ月半~3ヵ月の時間が掛かる。
First division(第1レベル)の学生は同様の指導方法で平均1ヵ月~1ヵ月半で合格となる。
もちろん個別の人財なので本人の頑張り次第(宿題を頑張る!予習復習を自主的にしてくる等)で時々そうでない者もおります。
しかしそれらは統計学で言う「外れ値・異常値」と捉えております。日本に渡り、また新たな分野の知識・技能を習得し就労していく上では、面接時の一瞬よりも数年かけてどのように彼らがここまで来たかが分かり易い成績表を確認することも、また一つの評価基準になるかもしれません。